明るい山の道(甲州街道を歩く4)

前回までの歩きは、西八王子駅あたりまでを歩きました。今回は甲州街道で初めての峠越えになります。先々週に歩いたときは、いちょうの葉が黄金色に輝いていましたが、すでに葉っぱは落ちかけています。 少し歩くと、多摩御陵への入り口が現れます。この多摩…

街を抜ける(甲州街道を歩く3)

今回の歩きは、府中の大国魂神社がスタートです。七五三の家族連れでいっぱいの神社はとても賑やかです。日本橋新宿と今まで歩いて、甲州街道で今の町並みから昔の宿場の名残を感じ取れるのは、府中が初めてです。それくらい今の甲州街道からは昔の名残を残…

北関東民のさえないソウル(絲山秋子「薄情」)

群馬、栃木、茨城、いわゆる北関東とよばれる3県は、テレビ番組のうえでは魅力のない県とされています。都道府県の魅力ランキングでは常に下位をさまよっているし、そんなありさまに自虐的ですらある。そんな場所でくらす男女は快活さからは程遠い。わたし…

台地の上を通る(甲州街道を歩く2)

今回の行程は、京王線の芦花公園駅からの歩きです。私鉄の駅につづく商店街と生活道路のコンビは、生活するには気楽そうですが、よそものにはあまり変哲のない街で、面白味のないところです。 ところどころに通り過ぎる川はコンクリートだし、あたりはケヤキ…

なんの変哲のない道(甲州街道を歩く1)

中山道をゴールしてしばらくたつと、田舎の道が恋しくなって、街道歩きを再開することにしました。今度は甲州街道で、甲府まわりで下諏訪までの道を歩きます。日本橋から新宿までの道は、散歩のようにして歩いてしまったので省略。実質の歩き始めは新宿から…

タレント政治あるいは政治タレントたち

目立ちたいがための強い言葉は、たんに相手を傷つけるだけでなく、自分自身が言葉の虜となり自分を蝕むのだと、長谷川豊さんのブログ騒ぎを、前々回の記事で取り上げました。その後、長谷川さんに対する謝罪署名を集めた女性が、実際に長谷川さんに会ったと…

ヘイトするくらいならみんなで踊ろう(サムルノリの音楽について)

今年は、高麗郡が創られてから1300年の記念の年なのだそうです。700年代、平城京の都のころに、国が滅んだ高句麗から1700人もの人たちがこの地にやってきたとされています。その記念の年に、高麗神社ではサムルノリという韓国の音楽家たちのグル…

自己陶酔の言葉(過激な言葉の麻薬性)

テレビを見ていると、女優の杉田かおるさんが出演していました。それは自分の失敗経験を取り上げるというつくりの番組でした。テレビをしかもバラエティー番組など見ることは珍しいのですが杉田さんのコーナーはたまたまみてしまったのです。彼女は失敗の多…

知る由もない(内心の自由について)

もう半月もまえのことですが、民進党の党首選のときに、どこからともなく蓮舫さんの二重国籍疑惑が問題とされました。反リベラルというお題なら、なんにでも口を挟むおなじみの論者たちが、やかましく騒ぎ立てるのはもちろんですが、そのとき勇ましく騒いだ…

意外とおもしろい「さいたまトリエンナーレ」

昨日から「さいたまトリエンナーレ」という、現代美術のイベントが始まりました。議会では、これは単なる税金の無駄遣いではないか?なんて疑問のあるようですが、既存の施設を利用して行われるイベントに、それほど過剰さはなくて、一市民としてはとりあえ…

川の流れのような道(中山道を巡る3)

宿のご主人は、私が街道歩きをしていることがわかると、いろいろな話をしてくれました。とりわけ大津祭の話になると熱く語っていたのが印象的でした。山車の車輪を修理するのは、非常にお金がかかるということ、高齢化で自治会に14件しかないので、自治会…

生活の匂いのする道(中山道を巡る2)

昨日は熱中症気味だったようで、倒れるように宿に駆け込みました。せっかくなので、泊まった近江八幡の街を出がけに歩きました。宿をでて駅とは反対方向にあるくと、その旧くからの町並みが残るエリアにたどり着きます。この近江八幡は、かって安土城の城下…

きれいな水を眺める道(中山道を巡る1)

中山道を歩くのも今回で終わり。武佐から京都までの歩きです。山の中なら日差しがきつくても木陰にあたれば涼しく感じますし、水の流れが近くにあればたとえ暑くても心理的に涼しく感じることができますが、遮るものがない平野部での道のりは、けっこうきつ…

デジタルディバイド(情報格差)の新たな形態

かつて、デジタルディバイド(情報格差)という言葉が存在しました。それは、インターネットやパソコンを持つ人々と持たざる人々の間で、得られる情報に格差が起きる状況のことを意味していたと思います。パソコンを持つ人は、インターネットを利用できる環…

文明化の一過程としての神仏習合(義江彰夫「神仏習合」岩波新書)

以前に安丸良夫さんの「神々の明治維新」を取り上げましたが、そこでの論点は、明治維新というより王政復古の号令にあわせて発生した、廃仏希釈と神仏の分離運動が非常に政治的な運動であったことを述べました。では、それ以前は神仏習合と呼ばれた神仏の境…

中世を感じる道(鎌倉切り通しの道を巡る)

かつての東京湾沿いが、どのような姿だったかよくわかるのが、京急線のあたり横浜から三浦半島にかけてのあたりです。車窓を眺めれば、ところどころに浮島のような丘が点在して、その間に白っぽい住宅が連なっています。白っぽい住宅のあたりを、かつての東…

今週起きたあの事件と世間の反応が私を憂鬱にさせる

今週になってからのラジオニュースは、もっぱら相模原の19人の殺人事件についての解説ばかりです。事件の起きた障がい者施設でかつて働いていた犯人は、当初は普通に勤務していたそうですが、いつのころからか、突然殺人や差別言動を公言するようになった…

選挙のあと変だなあと思うこと

参議院選挙が終わりました。三分のニを与党が占めたといわれるけれど、実態はやっと数を合わせたに過ぎなくて、与党が圧倒的に勝利したとも言いがたいように思うのですが、報道の伝えかたはそうではないようです。憲法といっても、100を越える条文のなか…

室町時代の可能性(清水克行「喧嘩両成敗の誕生」)

テレビを見ていて一番不快になる番組といえば、イジリ芸と呼ばれるものです。イジる側がつねにベテラン芸人、反対にイジられる側は若手芸人、双方の間に決定的に立場の強弱があるので、若手芸人のほうはイジりに対してキレることができない。バラエティに名…

人間が真ん中でない3(絵画とヒューマニズム)

出光美術館の50周年展示も、三回目の最後の展示に入りました。今回では取り上げられる絵は、江戸時代の作品が中心です。江戸時代といえば、浮世絵の展示が取り上げられそうですが、ここでは、歌麿も北斎もそれぞれ一点ずつという控えめな展示。もっとも展…

人間が真ん中でない2(水墨画のこと)

出光美術館の開館50周年の特集展示はとても力の入ったものです。3回に分けられたテーマのうち、前回1回目の展示では、涅槃図とか来迎図とか、あの世とこの世が混然一体となった、中世の世界観が印象に残ったのです。今回のテーマの中心は水墨図で、内外の…

地域のヒエラルキー(井上章一「京都きらい」)

47都道府県の序列は、最近ではよく、テレビのバラエティー番組のネタになります。関東なら、北関東3県がとりわけ揶揄される対象だし、少し前なら、そのポジションには埼玉県が位置づけられていたと思います。関東の一都六県は、一番は東京都、二番は神奈…

ゆたかな湖国(中山道を巡る(その3)

琵琶湖をバックに控えた彦根というところは、意外に涼しいところのようです。テレビの天気予報に現れる彦根の最高気温も、他の近畿の町に比べて数度低い。空気感も岐阜とはまるで違います。近江鉄道に乗り、再び高宮駅へと向かいます。近江鉄道の放送テープ…

おいしい水(中山道を巡る(その2)

泊まった大垣の町は、大きな祭りの準備でおおわらわでした。宿にはこれから祭りの屋台で働こうとする家族も泊まっています。家族総出で準備をして、大人も小さい子供も揃って働くのですね。町にはすでに山車が町に出ていて、それぞれの山車は意匠をこらして…

東と西が戦う場所(中山道を巡る(その1))

中山道を歩く旅は、美濃赤坂宿まで到達。まもなく岐阜県を通過します。歩いてわかるのは、本当にこの県は東国と西国が入り混じる場所なんだなと感じます。東西の戦いで最も有名なのは関ヶ原の戦いですが、今日はその関ヶ原を通ります。 赤坂宿から垂井宿に向…

ゾンビにならない(安冨歩「マイケルジャクソンの思想」)

つい、一週間ほど前にプリンスが亡くなりました。追悼のコメントをいろいろな方が出していて、総体としては、いわゆる「音楽通」の方々ほど、彼の死にインパクトを受けています。彼の音楽が一般的にもてはやされたのは80年代、マイケルジャクソンと比較さ…

大魔神と革命の物語

ゴールデンウィークを前に、WOWOWでは、大魔神3部作の連続放送があって、思わずみてしまいました。もっとも、これでもかと庶民が痛めつけられる大魔神が登場するまでの導入部のシーンは飛ばし飛ばしですが… いためつけられる庶民は、思いを魔神(のよ…

廃仏棄釈の恐怖(安丸良夫「神々の明治維新」岩波新書)

国家神道が太平洋戦争の敗戦とGHQの処分によって、戦後になくなったわけではなく現代も生きている。しかも現代ではその存在が見えなくなっている。という島園進さんの問題系について、以前の記事で述べました。毎日のように、政治どころか芸能ネタまでも…

ブラジルの大西洋岸を感じさせる音楽(エグベルトジスモンチの音楽について)

昨日、練馬文化会館で行われた、エグベルトジスモンチのコンサートに行ってきました。その興奮に任せて書いていますのでご了解ください。 本当はこのコンサートは、ナナヴァスコンセロスとのデュオとなるはずでしたが、ナナが亡くなってしまい、急遽、ジスモ…

シティポップの盛衰(ピチカートファイブの「闘い」について)

Youtubeで検索すれば、有名無名なさまざまな歌手の曲をなつかしく聴くことができます。一部分のフレーズだけを覚えていた聴いたことがある曲と偶然に出会うのはけっこう楽しいものです。私にとっては、70ー80年代に業界のある部分を占めていた「シティポ…