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陰影礼賛

 陰影礼賛という、谷崎潤一郎のエッセイがあります。乱暴にまとめれば、洋式のトイレは明るすぎていかんが、それに比べれば和式のトイレは適当に暗くてよい。そこから明るさに関しての私見を述べるエッセイですが、私も最近は、ショッピングセンターや家電量販店とか白っぽくてやたらに明るい空間というのが、すっかり苦手になりました。それよりも古い日本家屋の建物に入ったときに感じられる、ほのかな暗さが好きになりました。
 ショッピングセンターとか最近の公共施設に共通するのは、防犯上の意味があるのか、全体を見渡せること、死角をなるべく減らす。その意味で建物が設計されているのですし、だから明るいのでしょう。反面で、なにか晒されている感じおち着かない感じがします。不特定の人たちが利用するので、ある程度しかたのないことですが、そんなになんでもかんでも、世の中から闇を排除してよいのだろうか?という心配もします。
 屋内の
闇は消せても、都会の闇は消せても、心の闇は消せないし、夜がくればやっぱり暗くなるもの。大震災からの節電運動で、一時期は、むだな明るさが見直されたのはよかったことですが、最近は、外の景色も人の心も、むだに明るくする悪いくせが戻ってきたように感じます。