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「もうひとつのアメリカ史」を見て

 オリバーストーン監督の語る「もうひとつのアメリカ史」年末に放送したのを、撮り溜めしたのをすこしづつみています。第二次世界大戦から冷戦下のアメリカを、軍産複合体と歴代大統領のせめぎあいという観点からとらえています。大統領の評価もその軍産複合体との距離感によって定まっており、基点となっているのは、ルーズヴェルト大統領下の副大統領、ヘンリーウオレスの思想が軸になっています。

 昨日みたのは、ケネディ大統領の時代がテーマになっていた第6回です。ケネディ政権下でおきた出来事といえば「キューバ危機」あわや核戦争まで起きようかとしていた出来事。印象に残ったのは、マクナマラ国防長官がアイゼンハワー政権からの引継で、軍幹部からのヒヤリングから受けた印象が、あまりにも被害妄想に囚われていて辟易したとのコメント。その前の1から5回までをみた感想は、軍産複合体の思想は、恐怖心のあまりに被害妄想に囚われた病気じみているということです。トルーマン大統領下の幹部が、精神を病み自殺したことがあるらしい。実は、その被害妄想と猜疑心こそが、敵対国としてのソ連をモンスター扱いし、軍拡競争に追いつめていったことがわかります。冷戦が終わった今だからわかることですが。おなじようなことはソ連邦内部でも起きていたのでしょう。キューバ危機のあと、1ー2年してケネディ大統領は暗殺され、フルシチョフ書記も失脚しています。

 しかも、同じようなことは過去に起きたことではなく、現在進行形であることには留意すべきです。イラク戦争で問題になった破壊兵器は、結局は存在しなかったし、ヴィンラディンが殺害されようが、アルカイダのテロはなくならなかった。そして、なによりアメリカ社会が、人口よりも多くの銃が流通している銃社会であり、これを問題と捉えていても規制しようという動きにはならない。人によっては、これを陰謀ととらえる向きもあるでしょうが、私はそうはとらえたくはない。自分が敵に囲まれているという恐怖心から発せられる妄想。そして、その妄想によりアメリカ政府の政策がゆがめられた。集団で発する精神の病があるとすれば、まさしくこれは病です。

 はたして、恐怖心から発せられる被害妄想は、他国に限られたことでしょうか?かつてナチス政権が、ユダヤ人を虐殺し、ヨーロッパを占領したのも、恐怖心と被害妄想から発せられています。日本でも最近は、中国が日本を支配するのではといった妄想に囚われた意見を目にすることも多くなりました。これも日本社会の精神的な病でしょう。歴史上かつて、このように妄想に囚われた国が栄えたためしはありませんし、ほどなくして滅んでいます。すくなくとも病であると自覚するべきです。