「もうひとつのアメリカ史」を見て2

 オリバーストーン監督の「もうひとつのアメリカ史」ですが、合計10回はながいですね。やっと8回まで見たところです。視点は一貫しています。いかに軍産複合体がアメリカ政府の政策をゆがめているかということ。彼らのゆがんだ世界観の根本にあるものは、恐怖心と猜疑心だということです。

 これは、共和党であっても民主党であってもかわらないことで、たとえばニクソン大統領は、大統領になる前は強硬はであったようですが、大統領になってからのかれは、ソ連とは、とりあえず共存していこうという、現実的な政策を進めていました。ただし「現実的な」政策は、共和党の支持層の反発をうけて、右傾化の呼び水になった。後の、レーガン大統領が登場する基盤になったとのこと。

 もちろん、民主党のカーター大統領についても、ソ連のアフガン侵攻にたいして、モスクワオリンピックをボイコットなどした。そのかげには軍産複合体がせっせと、隣国のパキスタンに武器を供与し圧力をかけ、煽っていたからだということです。 

 冷戦を終わらせたのは、レーガン大統領だとアメリカでは思われていうようですが、決して冷戦を終わらせた主体は彼ではない。アメリカに対抗するがために、無理を続けたソ連経済が崩壊したから。それを終わらそうとした、ゴルバチョフ大統領こそが本当の主役でした。

 一方で、レーガン大統領の政策とそれに続く、軍産複合体の動きは、ソ連にアメリカを脅威に陥れる意志も力もないにもかかわらず、せっせと新しい敵を見つけているかのようです。ソ連に変わり、中南米や中東の諸国家に変わっていきます。

 と、ここまで書いて、右傾化の話は、日本でも同じように感じます。中国を敵国とみなして脅威をあおる。その原動力が、恐怖心と猜疑心によるものであるのは、アメリカの軍産複合体とおなじです。古今東西、恐怖心と猜疑心によって動かされる政治が、この世界のあり方をよりよいものにするはずはないのですがね・・・