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信濃路を巡る(三日目)

 さて、最終日はいよいよ和田峠越えです。昨日のおじさん二人ずれは早々に旅立ったようです。町営のバスで昨日の最終地点である和田宿まで行きます。バスは小学生の通学バスにもなっていて、ぽつぽつと小学生と一緒になります。いつもは専用バスなのでしょう。彼らにとっては知らないおじさんがぽつんと乗っているのですから。奇異の目で見られましたね。たくさん小学生が乗ってくるかと思えばそうでもありませんでした。小学校をすぎて、客のいなくなったバスは和田宿のバス停に入ります。三日目はここからスタートします。

 和田宿をどんどん抜けて、坂道になります。あいかわらずここの老人たちは元気ですね。何の用事なのかは不明ですが、元気そうに外をうろうろしている老人たちを見ると、都会の孤独な老人たちとなんて違うのだろうと感心しますね。

 宿場を抜けると道は、バイパスと一緒になります。狭い歩道のわきをトラックが追い抜いていくのは少々怖いですね。男女倉というところまでの登り道は、そのような道がつづく、とりたてて特徴がない道ですね。途中では道路補修をしています。途中の道路整理のおじさんと二言三言はなします。「どこまで行くの?」「下諏訪までです」というとびっくりしたようでした。やっぱり旧街道歩きは、ふつうの人にとっては酔狂な種類のものなのでしょう。

 男女倉に入ると、いよいよ歩道が始まります。いきなり熊を目撃したとの看板があり少し怖くなりました。区魔除けの鈴を持っていけばよかったと後悔しましたが、そのまま進みます。整備された道はまるで林道のようですね。昨日は、資料館でこの辺の道は和宮が通るということで、急遽3メートルが6メートルに拡幅するお達しがでたそうです。それも理由かもしれません。

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 途中には、休憩小屋がぽつぽつとありますが、以前は一般の家だったのでしょう。休憩所にしてはずいぶんと立派すぎる建物です。となりにはわき水が沸いています。水筒に汲んでいきたいところですが、車で訪れたおじさんが先客で、たくさん汲んでいて終わる気配もない。これは無理でした。ふたたび道中に戻りますが、同じようにとても山道とは思えない立派な道が続きます。とはいえ標高が高いのでしょうか、雑草の高さはそれほどでもありません。視界が開けると東餅やの茶や跡と呼ばれる箇所にでます。ブログなどではここで休憩ができるとかかれているんですが、営業中のドライブインは見つかりませんでした。本当は休憩したかったのですが・・・仕方なくそのまま峠を目指すことにしました。ここでも立派な道が続きますが、草の高さが少なくなったのは標高が高いせいですね。

 和田峠につけば、風が非常に冷たいですね。体が冷えるようです。天気も曇って居るので、どこか淋しげな箇所に感じました。

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ここでは下諏訪の保存の会のかたが作った地図が置かれています。このように自発的にやっているかたの活動には頭が下がります。下り道はこれが頼りになります。下り道は、これまでの道がうそのように、荒れた道になります。それでも通常のハイキング道にくらべればましなほうでしょうか。先ほどの保存会の方々が200メートル沖に小さな案内板を整備してくれて、これが頼りになります。途中には、わき水がありました。行きに飲めなかっ分を取り返します。下っていけばわき水の流れは、どんどん太くなり、川になっていきます。そして、西餅屋の茶やにまもなくです。

 茶屋あとをすぎれば、まもなく水戸浪士の墓が現れます。幕末に水戸浪人と松本藩で戦った場所のようです。血気盛んな浪人たちに比べて、すでに幕府の権威は失墜していたから、松本藩のほうはまるでやる気はなく、実戦経験もない。悪い言い方をすれば野蛮な水戸藩が勝つに決まってます。ここでは水戸浪人側が勝利したようです。

 ここから、下諏訪までがとても長いこと。体にこたえますし、気分的に一番つらいところです。周りはバイパス道と別れたり合流したりの繰り返し。で、どこでもそうですがトラックをよけながらの道中は、風情にかけるものですね。そんな道中を途中までいくと、途中に諏訪大社御柱を落とす坂を見かけました。ひろい場所を想像していたのですが、意外なほど狭い場所ですね。でも坂はほんとうに崖になっています。坂をすぎると、諏訪湖が間近に見えてきます。ここまできてようやくゴールが近くなる。疲れが吹き飛びますしほっとする場所です。すぐに諏訪大社の春宮に入ります。

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 諏訪大社は山の神なんもでしょうか、どこかたたずまいが熊野大社ににているように感じます。

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ここはふつうにお参りします。ここまでくれば実は下諏訪の宿に入っています。もうひとつの諏訪大社までは一キロはなれています。温泉がわくこの町には、いたるところにわき水と湯呑みがおいてあります。さっそくごちそうになります。

 ここと諏訪大社の下宮までは、あるく観光客も多いですが、車で訪れる家族連れが多いですね。ただし、車での来訪はどうしても、滞在時間が短くなるのでしょうか?境内には観光客が多いのですが、周りの土産物屋にはそれほど繁盛しているようには見えませんでした。下諏訪の町も同じですね。観光客はいても、車での訪問はおのずとスポットだけに集中してしまう傾向がある。街も駅も閑散としたものでした。地方都市は総じて元気がないですね。観光スポットを目指しては、すぐに去っていく移り気な観光客を相手にするのは、消耗戦に近いものです。観光地はどこも客の入れ込み数を問題にしますが、持続を考えるならそれよりは、観光客の質を目指すほうが、産業としては持続可能なあり方なのだと思います。むしろ相対的に今は山間部の過疎の町のほうが、元気さを感じました。

 今回の旅はここで終わりです。歩き通したという感慨よりも、ともかく足が痛くてしようがありませんでした。でも、家に帰り足の痛みが取れた頃に、また歩きたくなるのです。