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川面の美しさ(木曽路をめぐる(その2))

 木曽福島の朝は、エアコンをつけないといられないくらい寒い朝でした。寒暖の差が半端でないですね。前後左右がわからなくなる木曽福島の街がおもしろくて、朝は、少しだけ街歩きをしました。

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 街中には木曽川を渡る橋が町中にいくつもあります。橋の上から川岸の町並みをみれば、崖のような川岸に、実にびっしりと家が張り付いています。この光景が木曽福島の特徴でsしょう。眺望はいいけれど、はたからみれば崩れないかと思うと少し怖くもあります。そんな中に、興禅寺という木曽義仲の墓がある寺があります。義仲の一族は、合戦のなかで滅びたのではなく、その後も子孫も生き残っていて、そのまま、木曽の土地に根付いたみたいです。寺の境内には、一族の墓のほかに、石庭や日本庭園があって、花がきれいですね。木曽福島の街はあまり田舎町の印象はなく、木曽谷の全体ではかなり都会的な街なんだと思います。木曽福島の営林署にいたことがある旧い友人から、公共交通機関もなにもないころに、開田高原に住む人は、わざわざ歩いて山を越えて、木曽福島まで遊びに出掛けていたそうです。

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 宿場を抜けると、のどかな農村の光景が広がります。とちゅうには御岳神社がありますが、神社といっても、鳥居とその中に石碑しかありません。けれど鳥居をフレームに見立てると、そのわくの中に山々がうまく収まるようにできているので、なるほどなあと感心したのです。寺であれば、建物のまん中には仏像が鎮座していますが、多くの神社では、建物そのものはあっても、なかはがらんとしたものが多いですね。あったとしても、ぽつんと鏡だけがおいていたりします。ご神体には実体がないのですから、そこから物思いにふけり、深遠な哲学を妄想したくなりそうです。

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しばらくくと、木曽川沿いを延々と歩くようになります。このあたりから、ごつごつとした石が転がるような川岸に変わっていき、その中に木曽の桟という名所があります。どうやらロープづたいに川岸に降りれるようになっていて、降りてみると、白い石とブルーグリーンの水面の対比がとても美しいです。ここから上松宿までのあたり、美しい川岸の風景がずっと続いています。ほんとうに木曽路に到達してからというものは、雨の中ばかりで恨めしかったのですが、今回は天気に恵まれて、本当によかったと思います。

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 しばらく行けば、上松宿につきます。ここは木材の集散地として栄えた街です。それほど旧い建物は残っていませんが、街道沿いの雰囲気は宿場の面影をわずかですが残しています。さらにしばらくいくと、旧い建物が角に建っています。この建物が寝覚の床と呼ばれる旧跡の入り口になっていて、この角を曲がれば、寝覚の床につきます。

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 ここでも水面の青緑と石の白さの対比がとてもおもしろいです。切符売りのおばさんによれば、今日のようにきれいな水面をみることができるのは、年にそう何日もないそうです。今の季節は、豊富な雪解け水が、川の水かさを増やす季節のはず。そんなことも関係しているのでしょう。近くには、数件のそば屋があって入ろうとしましたが店は満杯でした。残念ですがあきらめます。

 この先、谷が狭まったこともあるのでしょうか、しだいに単調な国道沿いの路が多くなります。途中の倉本駅に立ち寄り、電車の時刻をみたのですが、次の電車は2時間後です。ほんとうに倉本駅の周辺は国道のほかにはなにもないところです。少し距離がありますが、となりの須原宿まで歩くことにしました。仕方なく歩く国道沿いの路は単調で、あまり楽しい道ではありません。上松から須原宿までの歩行時間は、ガイドブックでは4時間かかるとあります。登り降りはそれほどでなくとも、単調な国道沿いの路は、距離や歩行時間以上にきつく感じる箇所でした。

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 須原駅の建つ場所が宿の入り口のようです。駅前は幸田露伴の石碑が置かれ、満開の桜に囲まれています。須原宿の中は水舟があちらこちらの家の軒先におかれていて、水の音がよく聞こえる涼しげな集落ですね。中には旅人が飲んでもいいように、湯呑みが置かれている水舟もあります。ここでも飲んだ水はおいしい水でした。

 今回の旅はここまでです。軽井沢にたどり着いて、延々と信濃の国を歩き続け、ほんとうに信州の広さを改めて実感しています。この先、妻籠や馬込をすぎれば岐阜県の中津川まではもうすぐです。いよいよ次回で長かった信州ともお別れかと思うと、少し寂しくはなりますね。