投資家目線などいらない(橋本治「乱世を生きる」市場原理は嘘かもしれない)

乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

 先月から、箱根山の火山活動が活発になり新聞紙上をにぎわせています。昨年、木曽御嶽山では突然の噴火で山頂で登山を楽しんでいた人たちが多数なくなったことや、日本列島の火山が、最近は活発化していないか?との不安感が原因なのだとも思います。

 けれど、新聞紙上やテレビのニュース報道は、いつのまにか、噴火そのものの危険性と言うよりは、観光産業への打撃うんぬんの話ばかりがクローズアップされている。ことの本質(火山の噴火による被害)ではなくて、なぜか経済的側面ばかりが、話題になる不思議さを感じています。

 橋本治さんは「市場原理は嘘かもしれない」で、このような目線を、投資家目線と呼んでいます。橋本さんにとって、世界経済が崩壊しようが知ったことではない、ですが、マーケットのなかで生きる投資家のような人にとっては、世界経済が崩壊するのはありえないこと。カスカスの世界経済であっても、むりやりのびしろを見つけだしては、「これからのトレンドはこうだ」ということを延々考える。このことを批判するつもりは毛頭ありませんが、投資もやらない庶民が、そんな投資家目線を持つ必要はないでしょう。たとえば、自分の親が病院に入院したとしましょう。真っ先に心配するのは親の病状でしょう。誰が病院の経営状態なんか心配するでしょうか?箱根山の噴火のニュースを聞いて、いつのまにか問題が箱根の観光業にすり替わっているのを、おかしいなあと首をひねっています。