2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

内田樹「沈む日本をそれでも愛せますか」を読む

今年の年末年始は、曜日の組み合わせがよくて休みも長くなりました。まあ静かに本でも読もうかと思っています。読んだのは「沈む日本をそれでも愛せますか?」という、内田樹さんと高橋源一郎さんの対談本です。311前の直前に書かれたこの本は、いま読む…

橋本治「ひらがな日本美術史」

このブログ、気がつけば橋本治さんのエッセイばかりについて言及しています。橋本さんはデビュー作の「桃尻娘」から、いろいろまジャンルを書かれていますが、「桃尻娘」が、女子高生になりきった一人称で語られた小説であるように、「当事者になり切った」…

「摂州合邦辻」(歌舞伎の台本を読む)

「摂州合邦辻」という歌舞伎の台本を読みました。その話は、美しい武士の妻が、美少年である義理の息子に対して不義を働き、毒を盛って彼の顔を見にくく変形させてしまう。「ああ汚らわしい」とばかりに、父親にまで罵倒されつづける彼女の行動には、実は理…

滅びを遮られる(三島由紀夫「十日の菊」)

三島由紀夫の「英霊の声」という本には、前回の「憂国」の他に、「十日の菊」という戯曲が納められています。クーデターにより襲撃されたものの九死に一生を得た政治家とその家族が、恩人ともいえるまかないと再会を行ったことから、始まった話です。 物語の…

三島由紀夫「憂国」(英霊の聲)

三島由紀夫の「英霊の声」には「憂国」という小説も収められています。自死の光景を細かく描くのは、なかなかショッキングな内容です。 小説のすじは、226に親友の決起に関われず、逆に上官の命で親友の決起軍と戦わなければならない主人公が自死を選び、…

三島由紀夫「英霊の聲」

新年の一冊目は、三島由紀夫の「英霊の声」を読みました。松本健一さんの「畏るべき昭和天皇」には、この小説のことが引用されています。ですが、読んでみてもさっぱりわからないし、読者を悩ませる小説ですね。 小説は、226事件の将校たちや、特攻により…