2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「世界はこのように見えた」の歴史(橋本治「ひらがな日本美術史」番外)

橋本治さんの「ひらがな日本美術史」全7巻を読み通しました。美術史を語りながらも、ここで描き出されたのは、図らずも日本精神史のようなものかもしれません。弥生、平安、鎌倉、江戸・・・とそれぞれの時代に現れた時代精神というよりは、庶民にとって「…

私の談話(のようなもの)

昨日は終戦の日いや敗戦の日でした。本当の終戦の日は降伏文書に調印をした9月2日とするべきと、人によっては言いますが、先祖の魂が家に戻ってくるお盆という風習の最中で、こうした日が毎年やってくることは、偶然なのか作為があるのかはわかりませんが…

江戸の人つながり(松尾芭蕉「奥の細道」「曽良旅日記」)

岩波文庫版の「奥の細道」を購入すると、巻末に「曽良旅日記」という名称の、松尾芭蕉に付き添った曾良が書いた日記が付いています。これを読むととても興味深いことがかかれていて、松尾芭蕉の本編よりも、実はこちらのほうがおもしろかったりするのです。…

迷走する近代(橋本治「ひらがな日本美術史7」)

橋本治さん「ひらがな日本美術史」も最終巻まで到達しました。これまでの記事でもたびたび取り上げた、橋本さんの近代批判の論旨は、すでに江戸末期の時点で、日本の社会と、それを成り立たせる技術なんかは、そうとう成熟されていたということで、黒船と「…

浮世絵の巨人たちと前近代(橋本治「ひらがな日本美術史6」)

橋本治さん「ひらがな日本美術史」の第6巻、取り上げる時代は幕末。江戸の町人文化が成熟した時代で、集大成とでもいうべき浮世絵の巨人たちが活躍する巻です。橋本さんが綴る江戸の町人文化には、かつて「江戸にフランス革命を!」に圧倒されました。日本…

ブラックジョークっておもしろいですか?

この頃、ブラックジョークというものに笑えなくなっている自分を発見しました。ほんの数年前なら気軽にわらいとばせることも、とても笑いとばすような気分になれない。新しいお笑い芸人などは、テレビからいっぱい登場しますが、それだってあまりおもしろい…