2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

治天の君の欲望が争いのもと(橋本治「双調平家物語ノート〜権力の日本人」を読む3)

平安時代に権力のまんなかに居たのは、やっぱり王朝や摂関家です。さらにそのまんなかに居たのは治天の君、すなわち後白河法皇 であって、たかだか平氏の権力や源平の争いというのは、添え物なんです。それまで、摂関家がとり仕切る官僚機構にコントロールさ…

だんだん寒くなる道(甲州街道を歩く7)

昨年の秋から始めた甲州街道歩きですが、小仏の峠をこえて山梨県に入り、野田尻宿に到達していました。ひな壇のような谷間の集落をぬう相模湖からの道中は、上野原からは段丘上に広がる集落ののぼりながら通る道に変わりました。それは、マチュピチュにでも…

戦を知らない者たちの戦〜保元の乱(橋本治「双調平家物語ノート〜権力の日本人」を読む2)

平安時代の初期に薬子の変が起きてから、保元の乱がおきるまで、都の王朝のなかに死刑はありませんでした。王朝に直属する常備軍というものも存在しなかった。武士の中には朝廷に仕え官職を持つ者はいるけれど、あくまで警察官という肩書きです。都を離れた…

摂関家の走狗(橋本治「双調平家物語ノート〜権力の日本人」を読む(その1))

前回の記事でとりあげた、大澤真幸さんの「日本史のなぞ」で、橋本治さん「双調平家物語ノート」に言及がありました。読んでみたいところですがなかなか入手しづらい本のようです。そんなとき役立つのはやっぱり図書館で、探しては借りて読んだところです。…

自覚されない革命(大澤真幸「日本史のなぞ」朝日新書)

日本史上に革命はあった。という人もいれば、革命はなかったという人もいます。革命がなかったという人によれば、庶民が立ち上がった抵抗運動が時の権力者を滅ぼした、なんてことは歴史上になかったと述べ、革命があったという人にとっては、たとえば明治維…