2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

死人のように生きている(イザベラバードの日本奥地紀行)

イザベラバードの日本奥地紀行という紀行文は、英国人女性が140年前の日本の関東から東北地方をぬけ、蝦夷の地までを旅行した記録です。一般的には、文明開化が華やかで、西欧の書物が大量に導入された時期であること。そして、政府が雇ったお抱え外国人…

現実にはありえない風景

山水画では深山幽谷が、よく描かれます。ですが、そこに描かれるのは、決して実在しない景色です。平安時代の貴族たちののほほんとした社会から、武士たちの社会に変わっていったときに、新たな世の支配階級である武士たちは、平安よりも中国から輸入された…

あの世とこの世の境(いとうせいこう「想像ラジオ」)

いとうせいこうさんの「想像ラジオ」という小説を読みました。大震災のあとに、その影響下でたくさんの小説が書かれました。この小説もそのなかのひとつで、四年後の今になって文庫本になったようです。小説は、津波に流されて、この世とあの世の境目をさま…

追悼 オーネットコールマン。

一昨日、ジャズミュージシャンのオーネットコールマンがなくなったという訃報が流れました。最近は来日の予定だったのがキャンセルになり、おそらく体調がよくないのだろうと想像していたのですが、残念ですね。ご冥福をお祈りします。 オーネットの音楽にふ…

奈良時代「私」のゆくえ(橋本治「双調平家物語」2)

「天皇は悪くない。悪いのは君側の奸だ」という大義は、近代では226事件の反乱将校たちにも使われた、日本における反乱事件の常套句です。権力者そのものを問わずに、周囲の側近たちが諸悪の根源だという、その屈折した理屈のわかりづらさは現在も引き継…

清盛義仲頼朝(橋本治「双調平家物語」)

橋本治さん「双調平家物語」少しづつ読みながら、最後の16巻、治承の巻、最後まで読み通しました。平家物語といいながらも、取り上げる時代は、越の国からやってきた、得体の知れない男(継体天皇)の話から、平家滅亡まで、奈良の都から平安の都への王朝…