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事実を知ろうとしない態度

 佐村河内さんのゴーストライター、小保方さんのコピペ論文。いつの世の中も嘘をつく人はいるし、素人が株のもうけ話に引っかかった話のたぐいは、いくらでもあります

が、いつも私がこの手の話に興味を持つ場合は、どちらかといえば、なんでだまされたのだろう?と騙されたほうに、興味が向かいます。

 取材をした記者も、論文を読んで精査した専門家たちも結局は騙されたということです。本当だろうか?と疑いながらも、難聴の作曲家や、わき目もふらずに研究に没頭した「リケジョ」のストーリーが、記者たちの中で一人歩きしたのでしょうか?

 薬の認証を得るための調査。原発の審査を通るための調査。調査結果が仮説通りにならない時に、自分の仮説を訂正するのではなく、調査結果のほうを修正してしまう。だまされたマスコミ関係者たちの心性もこれに似ている。自分たちが書きたかった物語に、あまりにドンピシャにぴはまりすぎたので、少々おかしいところはあっても、この話を検証することがおざなりになったのでしょう。

 村上龍さんのとあるエッセイでは「この国では無知であることが害悪とされていない・・・」というくだりがあります。「知らなかった」「悪意はなかった」で許される社会では、事実を知ることが尊重される姿勢が生まれようがありません。311を振り返る番組では、現在進行形の原子力事故や、復興事業の遅れには言及せずに、「奇跡の」物語がアナウンスされる。知ることを拒否する態度。これは社会にとってゆゆしき問題だと思います。