街道歩きからみた上野下野

信濃の国が、山と谷に囲まれた風景や暮らしを共有する地域の連邦制と前回述べたところで、じゃあほかの地域はどうなのだろうかと語ってみたくなりますね。例えばかつて毛の国と呼ばれた上野や下野の国。両方に共通するのは、どちらも内陸部だということ。かと言って盆地ではないところは信濃の国とは違います。どちらも関東平野のヘリに在する国なんですよね。

たぶん、都から東山道を通る使者が信濃の山と谷を越えてはじめて触れる関東の風景とは、上毛三山に囲まれた群馬の風景なんですよね。西からみれば、左手に赤城山榛名山。右手に妙義山。前方には関東平野の地平線が見える。信濃の山と谷の風景を抜けて都から下ってきた使者にはとても驚きの景色だったろうと思います。

下野の国も基本は同じ風景を共有しているといえます。左手にに見える山々は日光連山に変わりますが、右手には関東平野を控えるのは同じ風景です。何よりも群馬と栃木の両県をまたがった両毛地域と呼ばれる地域が存在すること自体が、毛の国と呼ばれた上野下野の共通点を表しているように思うのです。