(気恥ずかしいけれど)愛の二重奏(カーラブレイとスティーブスワロー)

 「愛の二重奏」などといえば、なんとも気恥ずかしい言葉なのですが、
たまたま、YOUTUBEで眺めた、カーラブレイとスティーブスワローのデュエットの動画をみて、その気恥ずかしい言葉がとてもぴったりの演奏のように感じたのです。Carla Bley & Steve Swallow - Live In Concert 1988 - YouTube
ピアノを弾くカーラブレイは、自分自身の手元を見ることは少なくて、スティーブスワローを見ている。あからさまな恋をしている女性の顔ではないけれど、ずっとスティーブを見つめながら演奏している。スティーブスワローも同じくカーラを見つめている。
 カーラブレイが残した演奏やアルバムは少なくて、印象に残ったのは、いつかFMで流れていた、ディナーミュージックというアルバムにおさめされたダイニングアローンと いう曲が印象に残ったくらい。そこではカーラは歌っていて、歌詞の内容は、都会のまんなかの自宅で、ひとりでワインを開ける寂しいディナーの光景を描写したものです。わたしがカーラという音楽家から受けるのは、その歌のイメージが強くて、バンドでの演奏のほうが多い彼女ですが、そのなかでも、彼女はどこか孤独である印象を受けるのです。
 そんな彼女の1回目のパートナーはピアニストのポールブレイで、2回目のパートナーはトランペット奏者のマイケルマントラー。スティーブスワローは3回目のパートナーで、プライベートでも二人はパートナーの関係です。スティーブスワローは、ピックを使いながらエレキベースを弾く、ジャズでは珍しいタイプの奏者で、自身が前面にたつ演奏よりもプロデュースだったりひきたて役といった印象の強いミュージシャンです。
 眺めた画像は1988年のものですが、最近でもすっかり爺婆になった2人が、そろってインタビューを受けている動画を眺めることができ、いまでも良好な関係が続いているようです。

「銀座の恋の物語」のようにデュエットの曲なんていくらでもありますし「見つめ合いながら歌う二人」なんていう動画も、いくらでも見れますが、ここでの、カーラブレイとスティーブスワローのように、まるで「愛の二重奏」といった濃密なものは、ちょっと見たことがないように思うのです。