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うんざりするほどの道(木曽路が終わる旅(その1))

続けてきた中山道を歩く旅は、木曽谷を歩く行程も、ようやく終わろうとしています。歩いても歩いても両側には、切り立った山々がつきることがないほど、うんざりするほどの単調さですが、それも終わろうとしています。

前回の終点、須原宿が今回の旅の始まりです。水舟の涼しさも前回のまんま、平日と言うこともあってさらに静かな様子です。旧い道を歩いていると、舞台をもったお寺が現れてきます。岩出観音といいます。ここからみた景色は、やはり山ばかり。この神社のあたりは、「中山道」とかかれた案内板がないことあって、道のりがわかりづらいですね。

f:id:tochgin1029:20150905181055j:image このあたりの集落には、大企業の事業所があって、ちょうど昼休みを終えた工員の方が、歩いて戻ってくるのと行き交います。一旦家に戻って昼飯を食べる昼休みは、あまり都市部のサラリーマンでは想像ができませんね。都市部とか工業団地なら、一旦通勤したら終業まで家にもどることはまずありません。大きな事業所なら、たいがい社員食堂があったりするものですが、ここでは当たり前のように工員さんたちが昼休みに家に戻って昼飯を食べる。工員たちもすぐ近くに住んでいて、かといって寮やアパートに住んでいるわけでもない。まったくの職住近接の暮らしなんですね。それが大企業の事業所なのですから、不思議な光景でした。

 さらに進むと、途中には道の駅があります。休憩をして野尻宿を目指します。どの宿場町も、人家も見あたらない通りから、ひとつ曲がると突然のように現れるのですね。これは防御のためでもあるのでしょうが、とりわけ野尻宿のなかもくねくねと曲がっていて、間違えそうです。ただ、かつては大きな宿場だったらしいですが、現在は静かな集落です。あたりは、夏が終わっているのか秋が訪れているのか定かではありませんが、それでもあたりには秋を感じさせる光景がちらほら、ススキの穂もたなびいているし、コスモスの花も少しですが咲いています。

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ここから、次の三留野宿までの道のりは、ともかく単調な国道の道がえんえんと続きます。国道19号線または中央線沿いに延々とつづく道は果てしなく感じます。どうも、この単調な道はドライバーにとってもくせ者らしく、どうしても信号機にしか見えない「居眠り防止装置」などという物体が、道路上に設置されています。

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頭には、あの「若者たち」の歌詞「きみのー、ゆくー、みちはー、はてしーなくとおいー♪」が浮かんできます。そこまではいいのですが、つづき「だのにー、なーぜー、はをくいしばりー、きみはー、いくのーかー、そんなーにしてーまでー」という歌詞が頭に浮かび、我がらげんなりしてきます。まったくよけいなお世話というものです。「好きでやってんだ。絶対にこれは苦行なんかではない!」と言いたくもなるのですが、やっぱりきついものはきついですね。

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などと言う間にあっけなく三留野宿に到着しました。宿場を通りながら、突然のように工事車両が行き交う場所が現れました。ここは、豪雨で土石流により被害を受けたところでもあるのですね。旧い街並が被害にあった場所だけ途切れていて、殺風景な茶色い土と工事車両が行き交っています。

 さきに進む方向を見れば、ずっと、両側にそそりたつようにそびえていた山並みの傾斜が、緩くなっているように感じます。どこまで続くのかとうんざりするほどだった木曽谷もいよいよ終わり、長かった信州とも別れます。達成感と淋しさが入り交じります。